せっかく大物を掛けたのに、最後の取り込みで逃がしてしまった——そんな悔しい経験をしないためにも、ランディングネット(タモ網) の知識は初心者こそ早めに身につけておきたい必須スキルです。この記事では、タモ網の種類と選び方から、正しい使い方・持ち運び方まで、釣り初心者の方に向けてわかりやすく解説します。
ランディングネット(タモ網)とは?
ランディングネット(タモ網)とは、釣り上げた魚を水面から安全に取り込むための網状の道具です。「タモ」とも「タモ網」とも呼ばれ、堤防・磯・サーフ・船釣りなど、ほぼあらゆる釣り場で活躍します。
釣り糸だけで魚を抜き上げようとすると、ラインやフックに大きな負荷がかかり、ラインブレイク(糸が切れること)やロッド(釣り竿)破損の原因になります。また、足場が高い堤防や磯では、抜き上げ自体が危険なケースも少なくありません。ランディングネットを使うことで、魚へのダメージを減らしながら確実に取り込めます。
ランディングネットの主な種類
ランディングネットにはいくつかの形状があり、使う釣り場や魚種によって向き不向きがあります。まず大まかな種類を把握しておきましょう。
①シャフト(柄)付きタモ網
もっとも一般的なタイプです。長い柄の先にネットが付いており、足場の高い堤防や磯でも魚まで届かせることができます。柄の長さは2m〜8m程度まで幅広く、釣り場に合わせて選びます。
シャフトはワンピース(一体型)とジョイント式(継ぎ式)があります。ジョイント式は分解して持ち運べるため、移動が多いルアーフィッシングにも便利です。また、玉の柄(たまのえ) と呼ばれる伸縮式シャフトも人気で、使わないときはコンパクトに縮めておけます。
②折りたたみ式タモ網
枠(フレーム)が折りたためる構造になっているタイプです。持ち運び時にかさばらず、バッグのサイドポケットに差し込むことができます。ランガン(歩き回りながらポイントを変える釣り方)が多いシーバス(スズキ)釣りやライトゲーム(アジ・メバルなどの軽いタックルで楽しむ釣り)に向いています。
③ハンドランディングネット(渓流・トラウト用)
短い柄が付いたコンパクトなタイプで、渓流釣りやトラウト(マス類)釣りで多く使われます。川の中に立ちながら魚をすくうシーンに最適です。
選び方のポイント:5つの基準で選ぶ
ランディングネットを選ぶ際は、以下の5つの基準を参考にしてください。
1. 釣り場に合わせてシャフト(柄)の長さを選ぶ
シャフトの長さは、自分が立つ足場から水面までの高さを基準に考えます。目安は以下のとおりです。
| 釣り場の種類 | 目安のシャフト長さ |
|---|---|
| 低い堤防・護岸(水面まで1m以内) | 2〜3m |
| 一般的な堤防(水面まで2〜3m) | 4〜5m |
| 高堤防・磯(水面まで3〜5m) | 6〜8m |
シャフトが短すぎると魚まで届かず、長すぎると操作しにくくなります。よくいく釣り場の足場の高さを事前に確認しておくとよいでしょう。
2. ターゲットに合わせてネットの枠サイズを選ぶ
ネット(網)の枠サイズは、釣りたい魚のサイズに合わせて選びます。枠が小さすぎると大きな魚が入りません。
| ターゲット | 枠の目安 |
|---|---|
| アジ・メバルなど小型魚 | 直径30〜40cm程度 |
| シーバス・チヌなど中型魚 | 直径45〜55cm程度 |
| ヒラメ・青物など大型魚 | 直径60cm以上 |
ロックショア(磯や地磯など岩礁帯からの釣り)でヒラマサやブリを狙う場合は、大きめの枠を用意しておくと安心です。
3. 枠の形状:丸型 vs ひし形(オーバル型)
枠の形状には大きく「丸型」と「ひし形(オーバル型)」があります。丸型はどの方向からでも魚を入れやすく、汎用性が高い形です。ひし形は縦に細長い形で、シャフトと枠の間を折りたためるモデルが多く、コンパクト収納に向いています。初心者には操作のしやすい丸型をおすすめします。
4. ネット素材:ナイロン vs ラバー
ネット部分の素材はナイロン製とラバー(ゴム)製の2種類が主流です。
ナイロン製はコストが低く、軽量です。ただし魚の粘膜を傷つけやすく、フックが絡みやすいというデメリットがあります。
ラバー製は魚体への負担が少なく、フックが絡みにくいのが特徴です。キャッチ&リリース(釣った魚を生きたまま逃がす釣り方)を楽しむ方には特に向いています。価格はナイロン製より高めになります。
5. 素材と重量:アルミ・カーボン・グラスから選ぶ
シャフトや枠の素材によって、重さや耐久性が変わります。
- アルミ製: 安価で丈夫。重さはやや重め。
- グラスファイバー(ガラス繊維)製: 価格と重量のバランスが取れたスタンダードな素材。
- カーボン製: 軽量で操作性が高い。価格は高めだが、長距離の移動や磯釣りに重宝する。
初心者のうちはアルミ製やグラスファイバー製を試してみることをおすすめします。釣りに慣れてから、軽量なカーボン製へのアップグレードを検討するとよいでしょう。
必要なアクセサリー・付属品
ランディングネット本体のほかに、以下のアクセサリーがあると便利です。
ジョイント(たたみ金具)
シャフトとネットの枠をつなぐパーツです。折りたたみ機能付きのジョイントを使うと、移動時にネット部分を折りたたんでコンパクトにできます。ランガン釣りには特に便利なアイテムです。
タモホルダー(ランディングホルダー)
ベルトやバッグのループに引っかけて、タモ網を腰やバッグに固定するためのホルダーです。両手をフリーにしながら移動できるため、歩き回る釣りには必需品です。
ランディングポール収納袋(ロッドケース兼用も)
長いシャフトを持ち運ぶ際に、収納袋があると車の中や電車移動時に便利です。傷つきも防げます。
ランディングネットの正しい使い方
実際に魚をランディングする(取り込む)手順を覚えておきましょう。コツをつかめば、一人でも安全に大物を取り込むことができます。
基本の手順
- 魚が弱るまで待つ: 魚が走り回っている間は取り込もうとせず、リールで巻いて魚を消耗させます。
- タモ網を先に水中に入れる: ネットを水面下に沈めてから魚を誘導します。「タモを先に入れる」が基本です。
- 魚の頭から入れる: 魚が逃げようとする方向(頭側)からネットに誘導します。尾側からすくおうとすると魚が反転して逃げやすくなります。
- ネットに入ったら一気に引き上げる: 魚が完全にネット内に収まったら、素早く引き上げます。
- 魚を地面に置いてフックを外す: ネットごと足元の安全な場所に下ろし、魚のフック(針)を外します。
一人でのランディング
一人釣行では、ロッドを持ちながらシャフトを伸ばす必要があります。あらかじめシャフトの長さを調整しておくことと、タモホルダーでタモ網を腰の位置に携帯しておくことが重要です。魚がヒット(掛かった)したら、落ち着いてタモ網を取り出す余裕をもつことを意識しましょう。
二人でのランディング
同行者がいる場合は、魚が疲れたタイミングで声をかけ、相手にランディングをお願いする方法もあります。声掛けのタイミングと連携がスムーズであれば、大物でも確実に取り込めます。
ランディングネットのメンテナンスと保管
釣行後はネットを水洗いして、塩分や汚れを落としてください。特に海水釣りでは、塩分が金属パーツの腐食やサビの原因になります。洗った後は日陰で乾燥させてから保管するとよいでしょう。
ナイロン素材のネットは紫外線で劣化するため、直射日光を長時間当てないよう気をつけてください。ラバー製のネットも乾燥しすぎるとひび割れが生じることがあるため、保管場所に注意しましょう。
シャフトのジョイント部分には、定期的にグリス(潤滑油)を塗布しておくと、伸縮がスムーズになります。ジョイントの固着(固まって動かなくなること)を防ぐ効果もあります。
初心者におすすめのセット構成例
初めてタモ網を購入するなら、以下のようなセット構成を参考にしてください。
ライトゲーム・サビキ釣り向け
- シャフト: 2〜3m・アルミ製またはグラス製
- ネット枠: 丸型・直径40cm程度
- ネット素材: ナイロン製(価格重視)またはラバー製(フック絡み軽減)
ライトゲーム入門:アジ・メバルを狙う道具の選び方と釣り方ガイドもあわせて読んでおくと、タックル全体の組み合わせが理解しやすくなります。
堤防のシーバス・チヌ向け
- シャフト: 4〜5m・折りたたみジョイント付き
- ネット枠: 丸型またはひし形・直径50cm程度
- ネット素材: ラバー製推奨
磯・ロックショア向け
- シャフト: 6〜8m・カーボン製
- ネット枠: 丸型・直径60〜65cm
- ネット素材: ラバー製推奨
磯での釣りは足場の危険が増すため、タモ網以外の安全対策も重要です。磯釣り入門:道具の選び方から安全対策まで完全ガイドも参考にしてください。
ランディング時によくある失敗と対策
初心者が陥りやすいミスとその対策をまとめました。
失敗①:タモ入れのタイミングが早すぎる
魚が元気なうちにタモを出そうとして逃げられるケースです。焦らず、魚が水面近くまで浮いてきてから網を入れるようにしましょう。
失敗②:ネットを水面に入れずにすくおうとする
ネットを空中でなく水中に先入れするのが基本です。水面より上でスタンバイしていると、魚がネットに気づいて反転するケースが増えます。
失敗③:シャフトが短くて届かない
釣り場の下見をしておらず、シャフトが水面に届かないケースです。初めて行く釣り場では、足場の高さを事前に調べておくか、少し長めのシャフトを用意しておくと安心です。
失敗④:単独釣行でタモをすぐに取り出せない
移動中にタモ網を車の中に置きっぱなしにしており、いざヒットしてもタモが手元にないというケースです。タモホルダーで常に腰や背中に装着しておく習慣をつけましょう。
ルアー釣りとの組み合わせ
ルアーフィッシング(疑似餌を使う釣り)ではフックの本数が多いため、ネットへのフックの絡みが起きやすいです。ラバーネット採用のタモを使うことで、フック絡みを大幅に減らせます。また、シングルフック(一本針)への交換もトラブル軽減に効果的です。
ルアー釣りの基本について知りたい方は、ルアー釣り入門:道具の選び方から基本動作まで完全ガイドも参考にしてみてください。
要注意ポイント
- ⚠️ タモ入れ時は必ず「ネットを先に水中へ入れてから魚を誘導する」順番を守ること。逆にすると魚が反転して逃げやすくなる。
- ⚠️ 磯や高堤防でのランディングは転落の危険がある。必ずライフジャケット(救命胴衣)を着用し、無理な体勢でのランディングは避けること。
- ⚠️ シャフトの長さは足場の高さに対して余裕を持ったものを選ぶこと。短すぎると水面に届かず取り込みが不可能になる。
- ⚠️ 海水使用後は必ず真水で洗い流すこと。金属パーツの塩害・腐食・サビを防ぐために重要。
- ⚠️ 折りたたみジョイントは使用前に必ず「ロック(固定)」されているか確認すること。ロック不足のままだと魚を取り込む際にネットが折れて逃がしてしまう。
- ⚠️ 釣り場によっては特定の漁具・網の使用に制限がある場合がある。地域の漁業調整規則や釣り場のルールを事前に確認することをおすすめする。
- ⚠️ 本記事記載の価格帯・製品情報は目安であり、実際の購入時には最新情報を各販売店・メーカーサイトで確認すること。















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