釣りの魚の締め方と血抜き:種類別の手順と道具の選び方

釣り場のクーラーボックスと道具が並んだ様子。魚の締め方と血抜きの準備イメージ。
釣りの魚の締め方と血抜き:種類別の手順と道具の選び方

釣り上げた魚をおいしく食べるために欠かせないのが「締め方」と「血抜き」です。適切な処理をするだけで、持ち帰った魚の味が大きく変わります。この記事では、初心者の方でも迷わず実践できるよう、魚の締め方の種類・手順・必要な道具をわかりやすく解説します。


なぜ「締め」と「血抜き」が必要なのか

なぜ「締め」と「血抜き」が必要なのか イメージ

釣り上げた魚は、そのまま放置すると素早く鮮度が落ちてしまいます。

これは魚が暴れることで体温が上がり、内部の酵素が活性化して身が傷みやすくなるためです。

また、血液が体内に残ったままになると、生臭さや変色の原因になります。

「締め(しめ)」とは、魚を素早く絶命させて苦しませずに動きを止める処理のことです。

「血抜き(ちぬき)」は、エラや尾を切って心臓のポンプ作用を利用し、体内の血液を抜く処理です。

この2つを組み合わせることで、魚の鮮度・旨味・見た目を最大限に保つことができます。

スーパーで売られている魚と、釣って適切に処理した魚では、同じ魚種でも味が別物になることがあります。

せっかく釣った魚をおいしく食べるために、ぜひ基本を身につけておきましょう。


締め方の種類と特徴

締め方には大きく分けて3つの方法があります。

魚のサイズや釣り場の状況に応じて使い分けるのがポイントです。

活け締め(いけしめ)

活け締めは、ナイフや締め具を使って延髄(えんずい:脳と脊髄をつなぐ部位)を断ち、瞬時に絶命させる方法です。

魚が暴れる時間をゼロにするため、体内の乳酸(疲労物質)の蓄積を防ぎ、旨味成分(ATP:アデノシン三リン酸)の消耗を最小限に抑えられます。

アジ・サバ・ブリなど中型以上の魚に特におすすめです。

目と耳の間のくぼみ(こめかみ付近)にナイフを差し込み、延髄を断ちます。

慣れないうちはなかなか正確に刺せないこともありますが、「脳の真後ろ」を目安に練習しましょう。

氷締め(こおりしめ)

氷締めは、塩氷(海水と氷を混ぜたもの)の中に魚を入れて急冷し、低温で絶命させる方法です。

特別な道具が不要で、初心者にもすぐ実践できます。

アジやサバなど小型の魚に向いており、大量に釣れたときにも手軽に対応できます。

塩氷の温度はおおよそマイナス1〜マイナス2℃になり、魚が素早く動けなくなります。

クーラーボックスに海水と氷を入れ、釣れた魚をそのまま投入するだけです。

ただし、淡水魚には塩が使えないため、真水の氷水を使います。

神経締め(しんけいしめ)

神経締めは、活け締めのあとに専用のワイヤー(ニードル)を脊髄に通し、神経を破壊する方法です。

神経が残っていると死後も筋収縮が続き、ATPの消耗が進みます。

神経締めをすることで死後硬直を大幅に遅らせ、長時間の鮮度保持が可能になります。

中型〜大型の高級魚(マダイ・ヒラメ・ブリなど)を長距離持ち帰る際や、翌日以降に食べる予定がある場合に特に有効です。

初心者には少しハードルが高いですが、魚の旨味を最大限引き出したい方はぜひ挑戦してみてください。


血抜きの基本手順

血抜きは締めた後すぐに行うのが基本です。

血が固まらないうちに行うほど、効果が高くなります。

エラ切りによる血抜き

最も一般的な血抜き方法は「エラ切り」です。

  1. エラ蓋を開ける:親指を入れてエラ蓋を開きます。
  2. エラを切る:エラの付け根(頭側)にナイフを入れ、エラを切断します。両側のエラを切ると効果的です。
  3. 海水(または塩水)に浸ける:切り口を下にして、バケツの海水に魚を入れます。心臓がまだ動いている間は自然に血が抜けていきます。
  4. 5〜10分待つ:水が赤くなったら大体の血が抜けた目安です。

魚の頭を下向きにして浸けると、重力で血が抜けやすくなります。

真水ではなく海水(または3%程度の塩水)を使うことで、浸透圧の影響を防いで身が水っぽくなるのを避けられます。

尾切りによる血抜き(補助的方法)

大型の魚では、エラ切りと同時に尾の付け根も切ることがあります。

尾側を切ることで血液の出口が増え、より効率よく血が抜けると言われています。

アジやサバなど小型の魚では必ずしも必要ありませんが、ブリやヒラマサなど大型の魚では組み合わせると効果的です。


魚の種類別:締め方・血抜きの目安

魚のサイズや種類によって、適した締め方は異なります。

下記を参考に、釣れた魚に合わせた方法を選んでください。

小型の魚(20cm以下:アジ・サバ・イワシなど)

おすすめ:氷締め+エラ切り血抜き

小型の魚は数が多く釣れることが多いため、1匹ずつ活け締めするのは現実的ではありません。

塩氷に入れるだけで十分な品質が得られます。

より丁寧に処理したい場合は、氷締めしたあとにエラを切って再び氷水に戻すと効果的です。

アジの場合は「鼻からナイフを入れる締め方(アジ締め)」も有名で、専用のアジ締めピックが市販されています。

初心者には氷締めが一番手軽なのでおすすめです。

ルアー釣りでアジやサバを狙う方法については、「ライトゲーム入門:アジ・メバルを狙う道具の選び方と釣り方ガイド」もあわせてご覧ください。

中型の魚(20〜50cm:チヌ・マダイ・ソウダガツオなど)

おすすめ:活け締め+エラ切り血抜き

中型魚は旨味の差が出やすく、活け締めの効果を実感しやすいサイズです。

ナイフやピックを使って脳を一突きし、すぐにエラを切って血抜きを行いましょう。

締め方が決まると魚の体がピクッと反応し、その後動かなくなります。

大型の魚(50cm以上:ブリ・ヒラメ・シーバスなど)

おすすめ:活け締め+神経締め+エラ切り・尾切り血抜き

大型魚は旨味成分の消耗が顕著なため、神経締めまで行うと翌日・翌々日の味が格段に変わります。

専用の神経締めワイヤー(30〜50cm程度)を脊髄孔(せきずいこう:背骨の中央の穴)に挿入し、ゆっくり前後させながら神経を破壊します。

ワイヤーが正しく通ると、ピクピクと体が震えます。

磯やサーフなど足場の悪い場所では作業しにくい場合もあります。

まずは安全を確保してから処理するようにしましょう。

磯での安全対策については「磯釣り入門:道具の選び方から安全対策まで完全ガイド」も参考にしてみてください。


締め・血抜きに必要な道具

フィッシングナイフ(締め具)

魚を締めるための基本道具です。

刃渡り10〜15cm程度のものが使いやすく、ステンレス製が錆びにくくておすすめです。

折りたたみ式は安全に携帯できますが、1アクションで開けるものを選ぶと釣り場での作業がスムーズです。

コンパクトなアジ締め専用ピック(ピック状の金属)もあります。

小型魚の脳天締めに特化しており、ナイフ未経験の方でも扱いやすいです。

神経締めワイヤー

専用の細いステンレスワイヤーで、長さ30〜80cmのものが一般的です。

魚のサイズに合わせて複数のサイズを用意しておくと便利です。

釣具店で500〜1,500円程度から購入できます。

水汲みバケツ

血抜き用の海水を汲むために必要です。

折りたたみ式のものは持ち運びに便利で、釣り場によく持参されます。

ロープ付きのものを選ぶと足場の高い堤防でも使いやすいです。

クーラーボックス

締めた後の魚を鮮度よく保管するために不可欠です。

氷と海水を入れた塩氷で魚を冷やします。

容量や保冷力の選び方は釣りのスタイルによって異なりますが、日帰り釣行では10〜20リットルクラスが使いやすいでしょう。


現地での作業の流れ:まとめ

釣り場での一連の流れを整理します。

  1. 魚を釣り上げる
  2. 水汲みバケツに海水を入れておく(事前準備)
  3. 釣れたらすぐ締める(氷締め or 活け締め)
  4. エラを切って血抜き(海水バケツに5〜10分)
  5. クーラーボックスの塩氷に移す
  6. 大型魚は神経締めも追加(任意)

このサイクルを1匹ごとに繰り返します。

手間に感じるかもしれませんが、慣れると1匹の処理は数分で完了します。

最初は小型魚から始め、道具の扱いに慣れてから大型魚にチャレンジするのがおすすめです。

釣った魚を持ち帰った後の処理(さばき方)については「釣りの魚のさばき方入門:初心者でもできる基本手順と道具の選び方」もあわせてご参照ください。


初心者がやりがちなミスと対策

ミス1:締めずにそのままクーラーに入れる

最もよくあるミスです。

暴れたまま入れると体温上昇・乳酸蓄積が起き、身がパサついたり味が落ちたりします。

必ず何らかの方法で締めてからクーラーに入れましょう。

ミス2:真水の氷だけで冷やす

真水の氷だけでは浸透圧の影響で魚の身が水分を吸ってしまい、水っぽくなることがあります。

海釣りでは必ず海水を混ぜた塩氷を使うようにしましょう。

ミス3:血抜きに真水を使う

血抜き用のバケツに真水を使うと、浸透圧で身に水が入り込みやすくなります。

海水を使うのが基本です。

海水が用意できないときは3%前後の食塩水(水1リットルに塩30g)で代用できます。

ミス4:処理後の魚を直接氷に触れさせる

クーラーボックスで直接氷に魚を触れさせると、触れた部分が凍傷状になり身が傷むことがあります。

ビニール袋や新聞紙に包むか、氷の上に薄い仕切りを敷くと安心です。


要注意ポイント

  • ⚠️ ナイフや締め具は鋭利な刃物です。使用前後は必ずケースに収納し、取り扱いには十分注意してください。特に子どもが近くにいる場合は手の届かない場所に保管しましょう。
  • ⚠️ 足場の悪い磯や堤防でナイフを扱う際は、転倒・落水に注意して安全な体勢で作業してください。
  • ⚠️ 血抜きに使った海水や血液は、釣り場の水場やトイレで流すのではなく、海や川に戻すか、現地のルールに従って処分してください。
  • ⚠️ 締め処理の方法・用具は魚種・サイズによって効果が異なります。本記事の手順はあくまで一般的な目安です。特定の魚種や状況では別の方法が適している場合があります。
  • ⚠️ 神経締めワイヤーを使う場合、骨に無理に刺し込もうとするとワイヤーが折れて釣り場に残る可能性があります。焦らずゆっくり操作してください。
  • ⚠️ 魚種ごとの「最適な血抜き時間」については研究によって見解が異なる部分もあるため、本記事では「5〜10分を目安に」と表記しています。詳細は水産・鮮魚の専門情報もご参照ください。

出典


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