釣りの魚のさばき方入門:初心者でもできる基本手順と道具の選び方

木製まな板の上に並べられた新鮮な釣り魚と包丁・ウロコ取り
釣りの魚のさばき方入門:初心者でもできる基本手順と道具の選び方

釣りの楽しみは、釣った魚をそのまま食卓に並べられること。でも「さばき方がわからなくて怖い」と感じている初心者の方は多いはずです。この記事では、包丁の選び方から基本のさばき手順まで、釣り初心者でもすぐに実践できるよう丁寧に解説します。


なぜ「さばき方」を覚えると釣りがもっと楽しくなるのか

釣りは魚を釣るだけで完結しません。釣った魚をおいしく食べてこそ、一連の体験が完成します。自分でさばいた魚の刺身や塩焼きを食べたときの達成感は格別です。

また、「どうせ食べられないから」という理由でリリース(釣った魚を逃がすこと)ばかりになると、食材として魚と向き合う機会を失ってしまいます。さばき方を覚えると、持ち帰る魚を選ぶ目も自然と養われていきます。

さらに、現地での血抜きや締め作業(魚を即死させて鮮度を保つ処理)がしやすくなり、魚をよりおいしい状態で持ち帰れるようになります。釣りの技術と料理の技術はつながっているのです。


さばく前に準備したい道具

包丁の選び方

魚をさばく際に最も重要な道具が包丁です。最初の1本には、出刃包丁(でばぼうちょう)をおすすめします。出刃包丁は刃が厚く、骨に当てても刃こぼれしにくい構造になっています。刃渡り15〜18cmのものが、アジやサバなど一般的な釣り魚のサイズに合いやすいです。

ステンレス製は手入れが簡単で、初心者でも扱いやすいと言われています。価格は2,000〜5,000円台のものでも十分に使えます。

「まだ包丁を揃えていない」という方は、まず家にある三徳包丁(一般家庭でよく使われる万能包丁)でも基本的なさばき作業は可能です。慣れてきたら出刃包丁への移行を検討しましょう。

まな板・バット・ウロコ取り

道具 役割 選び方のポイント
まな板 魚を置いて作業する台 大きめ(45cm以上)で厚みのあるものが安定する
バット・ボウル 水洗いや下処理に使う ステンレス製が衛生的で臭いが残りにくい
ウロコ取り(スケーラー) 魚のウロコを除去する 専用スケーラーがあると作業が早い。包丁の背でも代用可
キッチンペーパー 水気を拭き取る 大量に使うので多めに用意する
ゴム手袋 手を保護する 魚のトゲが刺さるのを防ぐ。特にカサゴ類に有効

冷蔵庫内での保存や、下処理後の魚を一時保管するには、釣り用クーラーボックスも活躍します。釣りに出かける際のクーラーボックスの選び方については、別記事でくわしく解説しています。


魚をさばく前の下処理:3つの基本ステップ

STEP 1:活け締め・血抜きを現地で行う

魚の鮮度を保つためには、釣り上げた直後の処理が大切です。魚が生きているうちに「活け締め(いけじめ)」を行うと、魚体内で旨味成分(ATP)が分解されにくく、よりおいしく食べられると言われています。

最も簡単な方法は、魚の目と目の間(頭部)をナイフやアイスピックで素早く刺す「脳締め」です。その後、エラの付け根を切って海水バケツに頭を下にして入れると血抜きができます。

血抜きをしておくと、臭みが格段に減ります。釣り場での処理が難しい場合は、帰宅後すぐに作業しましょう。

STEP 2:ウロコを取る

ウロコは調理の邪魔になるだけでなく、残ったまま加熱すると臭みの原因にもなります。流水を当てながら、ウロコ取りまたは包丁の背でしっぽ側から頭側に向かってこそぎ取ります。

アジの場合は側線(体の側面に沿った一列のウロコ)に「ぜいご」と呼ばれる硬い棘状のウロコがあります。包丁を尾から頭方向に斜めに入れてそぎ落とすのがコツです。

STEP 3:エラと内臓を取り出す

腹側を包丁で開いて内臓を取り出します。まず、エラぶたを開けてエラを切り落とします。次に、肛門から腹の先端に向かって包丁を入れ、内臓をかき出します。内臓の破片が残ると臭みの原因になるため、流水でしっかり洗い流しましょう。


初心者向け!3枚おろしの基本手順

3枚おろしとは、魚の身を「左身・右身・中骨」の3つに切り分ける最も基本的なさばき方です。刺身・塩焼き・フライなど、あらゆる料理の基本になります。

手順1:頭を落とす

胸びれの付け根に斜めに包丁を入れ、頭を落とします。左右両側から刃を入れると、頭が外れやすくなります。

手順2:腹骨を除去する

開いた腹の内側にある「腹骨(ふなぞこ)」を包丁でそぎ取ります。包丁を骨に添わせながら薄く削ぐようにするのがポイントです。

手順3:背骨に沿って刃を入れる(片身を外す)

魚を横に寝かせ、背中側から中骨に沿って包丁を走らせます。刃を骨に当てながらゆっくり引くようにすると、きれいに身が離れます。腹側からも同様に刃を入れ、片身を外します。

手順4:反対側も同様に行う

魚を裏返し、同じ要領で反対側の身を外します。これで「左身・右身・中骨」の3枚になりました。

手順5:小骨(ピンボーン)を取る

身の中央には小骨(ピンボーン)が縦一列に残っています。骨抜き(ほねぬき)と呼ばれるピンセット状の道具を使って、1本ずつ引き抜きましょう。指で骨の位置を確認しながら抜くと見落としを防げます。


魚種別:よく釣れる魚のさばき方のコツ

アジ

サビキ釣りやライトゲームで最もよく釣れる魚のひとつです。小型で扱いやすく、3枚おろしの練習にぴったりです。「ぜいご」を最初に除去しておくとスムーズに作業できます。刺身・なめろう・アジフライと幅広い料理に使えます。

カサゴ(ガシラ)

ロックフィッシュ(根魚。磯や堤防の岩礁帯に潜む魚)の代表格です。背びれや腹びれにトゲがあるため、ゴム手袋を着用して作業することをおすすめします。煮付けや唐揚げに向いており、皮目に切り込みを入れると味が染み込みやすくなります。

サバ

身が柔らかいため、釣り上げたらすぐに血抜きをして冷やすことが重要です。新鮮なサバはしめさばや塩焼きにするとおいしいです。アニサキス(魚の内臓や筋肉に寄生する寄生虫)のリスクがあるため、刺身で食べる際は目視で確認し、-20℃以下で24時間以上冷凍するか加熱することが食中毒予防として推奨されています。

メバル

ライトゲームで人気のターゲットです。アジと同様に3枚おろしができます。身がふっくらしているため、煮付けが特においしい魚です。ウロコが細かく取れやすいため、下処理は比較的簡単です。


魚をおいしく保存するポイント

さばいた後の保存方法を誤ると、せっかくの魚がおいしくなくなってしまいます。

冷蔵保存(2〜3日以内に食べる場合)

キッチンペーパーで水気をしっかり拭き取り、ラップで密封してから冷蔵庫のチルド室(0℃前後)に入れましょう。空気に触れると酸化が進むため、なるべく密封することが大切です。

冷凍保存(長期保存の場合)

1枚ずつラップで包み、フリーザーバッグに入れて冷凍します。冷凍前に塩を少し振ると旨味が抜けにくくなると言われています。冷凍した身は2〜3週間を目安に使い切りましょう。

現地でのキープ方法

釣り場から持ち帰るまでの間は、氷と海水を合わせた「氷締め」がおすすめです。海水に氷を入れたクーラーボックスに魚を投入するだけで、鮮度を長時間保てます。


さばき方を練習するおすすめの方法

いきなり高級魚をさばこうとすると、失敗したときのショックが大きいです。最初はスーパーで安価に手に入る「アジ(1尾100円前後)」を購入して練習するのがおすすめです。

魚屋さんやスーパーの鮮魚コーナーで「頭付きのアジをください」と頼むと、丸ごとの状態で入手できます。釣り魚と同じ状態なので、さばく練習にそのまま使えます。

また、料理動画サイトや釣り専門のYouTubeチャンネルでは、プロのさばき方を映像で確認できます。本記事の手順と合わせて活用すると、理解が深まりやすいでしょう。


さばいた魚で作りたい!初心者向けシンプルレシピ3選

レシピ1:アジの塩焼き

3枚おろしにする前に、内臓とウロコを取った丸のままの魚に塩を振り、グリルで焼くだけです。最もシンプルで失敗しにくい調理法です。表皮がパリッと仕上がるのが美味しさの秘訣です。

レシピ2:カサゴの煮付け

だし・醤油・みりん・砂糖を合わせた煮汁で、下処理済みのカサゴを20分ほど煮るだけです。骨ごと食べられるほど柔らかくなります。煮汁にショウガを加えると臭みが消えやすくなります。

レシピ3:アジのなめろう

3枚おろしにしたアジの身を皮ごと細かく叩き、味噌・ショウガ・ネギ・大葉と混ぜ合わせます。包丁で混ぜながら叩くのがコツで、冷たいご飯の上にのせると絶品です。


要注意ポイント

  • ⚠️ アニサキス(魚に寄生する寄生虫)は、内臓に多く生息しています。釣り上げた魚はできるだけ早く内臓を取り除き、生食する際は目視での確認と冷凍処理(-20℃以下・24時間以上)または十分な加熱(70℃以上)を行うことが、食中毒予防として推奨されています。
  • ⚠️ カサゴ・オニカサゴ・ハオコゼなど、トゲを持つ魚のさばき作業中は毒棘(どくとげ)による刺傷事故に注意してください。ゴム手袋の着用と、下処理前にハサミでトゲを切り落とす対処が有効と言われています。
  • ⚠️ 包丁は刃物です。指先や手のひらの向きに刃を向けないよう、常に「刃を自分と反対方向に向ける」意識で作業してください。
  • ⚠️ 魚のさばき後は、まな板・包丁・シンク周りをすぐに洗浄・消毒することをおすすめします。魚の汁は腐敗しやすく、臭いの原因になります。
  • ⚠️ アジのぜいごは非常に硬く、包丁が滑りやすいです。刃を立てすぎず、ゆっくり押しながら削ぐようにすると安全です。
  • ⚠️ 本記事に記載した保存期間はあくまで目安です。魚の状態・冷蔵庫の温度・処理の速さによって大きく異なります。においや色が気になる場合は食べることを控えてください。

出典

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