
釣りを始めるとき、最初に迷うのが「餌(エサ)は何を使えばいいの?」という疑問です。釣りの餌は種類が豊富で、魚の種類や釣り方によって最適なものが異なります。この記事では、初心者の方に向けて、餌の種類・選び方・使い方・保存方法をわかりやすく解説します。
餌釣りとは?基本の考え方
餌釣り(えさづり)とは、魚が食べる生き物や食材を針に付けて魚を誘う、最もオーソドックスな釣り方です。ルアー釣りと並ぶ二大釣り方のひとつで、釣具店でそのまま購入できる手軽さが魅力です。
魚は視覚・嗅覚・側線(そくせん:体の横に並ぶ感覚器官で水の振動を感知する器官)で餌を察知します。本物の生き物や食べ物を使う餌釣りは、魚に対する訴求力が高く、初心者でも釣果を得やすいとされています。
餌の選び方には大きく分けて 2 つのポイントがあります。1 つ目は「ターゲット魚種に合っているか」、2 つ目は「釣り方・仕掛けに合っているか」です。この 2 点を押さえるだけで、餌選びの迷いはぐっと減ります。
餌の大分類:生き餌・冷凍餌・練り餌
釣りの餌は大きく 3 種類に分類できます。それぞれの特徴を理解すると、目的に合った餌を選びやすくなります。
生き餌(いきえさ)
生き餌とは、生きたまま使う餌のことです。動きや匂いが本物なので、魚を引き付ける力が非常に強いとされています。代表的なものとして、イソメ(砂浜や磯に生息する細長い環形動物)・ミミズ・活きエビ・小魚(アジの生き餌など)が挙げられます。
釣具店では、プラスチック容器に入った状態で販売されていることが多いです。買ったその日のうちに使い切るのが基本ですが、保存方法を工夫すれば数日持たせることも可能です(詳細は後述)。
初心者のうちは、扱いやすさと汎用性の高さから「イソメ類」が特におすすめです。チヌ(クロダイ)・カサゴ・キス・ハゼなど幅広い魚種に対応できます。
冷凍餌(れいとうえさ)
冷凍餌は、生き餌を冷凍・加工したもので、保存がきく点が最大のメリットです。代表的なものとして、オキアミ(南極海などに生息する小型甲殻類を冷凍したもの)・アミエビ(小型のエビを冷凍したもの)・サンマやイカの切り身などがあります。
オキアミは、サビキ釣り(アジ・サバ・イワシなど小型青魚を狙う釣り)やフカセ釣り(ウキを使って仕掛けを自然に流す釣り)の定番餌です。アミエビはサビキ釣りのコマセ(まきえ:魚を集める目的でまく餌)として多用されます。
冷凍餌は釣りの前日に冷凍庫から出して自然解凍するのが基本です。急がない場合は冷蔵庫でゆっくり解凍すると状態が良く保てます。
練り餌(ねりえさ)
練り餌とは、穀物・魚粉・甘味料などを水で練り合わせた人工の餌です。コイ釣りやヘラブナ釣りで広く使われており、釣り堀でも定番です。水と混ぜる粉末タイプが一般的で、水分量を調整することで硬さを変えられます。
生き物を扱うことに抵抗がある方や、子どもと一緒に釣りをする場合に特に向いています。釣り堀やコイ・ヘラブナ釣りから始める方は、練り餌の扱いを最初に覚えると便利です。
魚種別!おすすめの餌一覧
釣りたい魚が決まっている場合、その魚が好む餌を選ぶことが釣果への近道です。以下に代表的な魚種とおすすめ餌をまとめます。
アジ・サバ・イワシ(堤防のサビキ釣り)
堤防からのサビキ釣りで狙う定番の青魚(あおざかな:背中が青く光る回遊魚の総称)には、アミエビ(冷凍) が最適です。コマセカゴ(まきえを入れる金属製のかご)にアミエビを詰め、仕掛けを揺らすだけで魚が集まってきます。
釣り初心者が最初に釣りやすい組み合わせとして広く知られており、春〜秋の堤防では高い確率で釣れると言われています。
キス・ハゼ(砂浜・河口のちょい投げ)
砂浜や河口で人気のキス・ハゼには、イシゴカイ(ジャリメ) が定番です。イシゴカイは細くて柔らかいイソメの仲間で、小型の口にも入りやすい点が特徴です。釣具店では「砂虫」「ジャリメ」などの名称で販売されています。
アオイソメ(青イソメ:青みがかった比較的大型のイソメ類)も代用できますが、キスには細めのイシゴカイのほうが食いが良いと言われています。
チヌ(クロダイ)・メジナ(フカセ釣り)
磯や防波堤でのフカセ釣りでは、オキアミ(生または冷凍) が最もよく使われます。コマセとしてもサシエ(さしえ:針に付ける餌)としても使えるため、1 種類で仕掛けが成立する便利さがあります。
チヌはコーン・スイカ・練り物なども食べる雑食性があるため、シーズンや場所によって餌を変える楽しさもあります。
カサゴ・メバル(穴釣り・ロックフィッシュ)
岩場や堤防の隙間を狙うカサゴ・メバルには、アオイソメ が万能です。存在感のある太めのアオイソメを大きく付けると、底にいる根魚(ねざかな:岩礁帯に潜む魚の総称)が反応しやすくなります。
活きエビ(テナガエビ・シラサエビなど)も根魚への効果が高く、関西地方では特に人気の餌です。
コイ・ヘラブナ(淡水の釣り堀・野池)
池や川でコイ・ヘラブナを狙う場合、練り餌 が基本です。市販の「バラケ餌(ばらけえさ)」「食わせ餌」を使い分けることで、魚を集めながら針に乗せる技法を覚えられます。食わせ餌は粘度を高めに練って針から外れにくくします。
餌の付け方:基本テクニック
餌釣りで釣果を上げるうえで、針への餌の付け方は意外と重要です。正しい付け方を覚えておきましょう。
イソメ類(ぶつ切り・通し刺し)
イソメ類の付け方は主に 2 種類あります。
1. 通し刺し(とおしざし):頭側から針を入れ、胴体に沿って針全体を貫通させる方法です。ずれにくく、投げ釣りなどで餌が飛びやすい場面に向いています。
2. ぶつ切り(ぶつぎり):イソメを 2〜3cm に切り、断面から針を刺す方法です。体液が出やすく匂いが強くなるため、食いが渋い(さかなのあたりが少ない)ときに有効とされています。
針の先端(チモト:糸を結ぶ部分の反対側の先端)がわずかに出るようにするのが基本です。針が完全に隠れると、魚が食ったときに針が刺さりにくくなります。
オキアミの付け方
オキアミは「尾羽(おば)」と呼ばれる尻尾部分から針を刺し、頭部分まで真っすぐ通すのが基本です。背中から刺す「背刺し(せざし)」も一般的で、波やコマセの流れで自然に漂わせる効果があります。
小型のオキアミは 2〜3 匹まとめて「房掛け(ふさがけ)」にすることで存在感を増せます。チヌやグレ(メジナの関西呼び)の活性が低いときに試してみてください。
餌の保存方法:釣行前後の管理術
せっかく購入した餌を無駄にしないための保存方法を解説します。
イソメ類の保存
購入当日に使わないイソメは、湿らせた新聞紙に包み、4〜10℃程度の冷蔵庫の野菜室で保管すると 3〜7 日ほど生かしておけるとされています。容器には海水と同程度の塩水(塩分約 3%)を薄く染み込ませた土や砂を入れる方法もあります。
注意点として、真水(まみず)に触れると死んでしまうことが多いため、水道水で直接洗うのは避けましょう。
オキアミ・アミエビの保存
余った冷凍オキアミは、空気を抜いてジッパー付き袋に入れ、冷凍庫で再冷凍できます。ただし、一度解凍したものは鮮度が落ちているため、できれば次回釣行で早めに使い切ることをおすすめします。
砂糖や塩で締めた「塩オキアミ」「サビキ用の加工オキアミ」は常温で流通している製品もあり、保存性が高い点で便利です。
練り餌の保存
使い残した練り餌は、乾燥しないようラップで包み、冷蔵庫で保管すれば翌日まで使える場合があります。ただし夏場は傷みやすいため、なるべく使い切る量だけ作ることをおすすめします。
初めての餌購入ガイド:釣具店での選び方
釣具店に初めて行くと、餌コーナーの種類の多さに圧倒されることがあります。以下のポイントを参考にしてください。
1. どこで何を釣るかを先に決める:「○○港の堤防でアジを釣りたい」「砂浜でキス釣りがしたい」など、場所と魚種を決めてから店員さんに相談すると、的確な餌を提案してもらえます。
2. 量は少なめに購入する:初めてのうちは使いきれないことも多いため、1 パック(100〜200g 程度)から試してみるのがおすすめです。オキアミは 500g のブロックから始めると割安で使いやすいです。
3. 保冷バッグ・クーラーボックスを持参する:冷凍餌や生き餌は温度管理が必要です。釣具店によっては袋に保冷剤を入れてくれますが、自前の保冷バッグがあると安心です。
4. ネット購入も選択肢のひとつ:オキアミや練り餌はネット通販でも購入できます。まとめ買いで割安になるケースもありますが、生き餌の購入は当日に釣具店へ行くのが現実的です。
餌釣りの注意点・マナー
釣りを楽しむうえで、環境とマナーへの配慮も大切です。
余った生き餌(特にイソメ類)を釣り場の海や川に放流することは、外来種(がいらいしゅ:本来その生態系に存在しない生物)の流入につながる可能性があるとして問題視されています。持ち帰るか、市場で販売されていない外来種の可能性がある餌は釣り場での放流を控えることをおすすめします。
また、コマセ(まきえ)の残りを港内に大量投棄すると水質汚染や悪臭の原因になります。釣り場のルールに従って適切に持ち帰り、可燃ゴミとして処分しましょう。
要注意ポイント
- ⚠️ イソメ類を直接触ることが苦手な方は、「エサ付け器」や「ピンセット」を活用してください。釣具店でも販売されています。
- ⚠️ 外来生物法(がいらいせいぶつほう)により、特定外来生物に指定された生き物を野外に放つことは禁止されています。余った生き餌の放流は控えることをおすすめします。
- ⚠️ オキアミ・アミエビなどの冷凍餌を車内に放置すると、解凍・腐敗により強い臭いが発生します。使用後は密封容器に入れ、持ち帰りましょう。
- ⚠️ 釣り堀や管理釣り場では使用できる餌が指定されている場合があります。訪問前に施設のルールを確認することをおすすめします。
- ⚠️ 生き餌(特に活きエビ)の取り扱いは、購入する釣具店の在庫状況に左右されます。必要な場合は事前に電話で確認することをおすすめします。
- ⚠️ 本記事の釣果・効果に関する記述は一般的な傾向であり、実際の状況によって異なります。断定的な釣果保証ではありません。
出典
- 釣りビジョン「釣りエサの基礎知識」
- 全国釣り場ガイド(一般社団法人 全日本釣り団体協議会)
- 環境省「外来生物法について」
- シマノ 釣り種・釣り方入門(公式サイト)
- ダイワ 釣り入門コンテンツ(公式サイト)
















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